第351章 逆天の決断

彼女はもう、斎田泉が何を口にするつもりなのか察していた。

案の定。ろくに苦労を知らずに生きてきた小さな女は、開口一番で佐々木海子の神経を逆なでする。

「あなたの旦那さんが欲しいの」

佐々木海子は勢いよく立ち上がり、奥歯を噛みしめて低く唸った。

「斎田さん……火事場泥棒にもほどがあるわ」

斎田泉の顔色がわずかに揺れ、瞳の奥に戸惑いが走る。だがすぐに持ち直し、居心地悪そうに言い訳めいた声を出した。

「仕方ないの。ほんの少しでも他に手があるなら、こんな卑怯なやり方、私だってしたくない。前にも言ったでしょ。短い間だけでいいから、彼を……欲しいって」

それから、妙に理屈っぽく続ける。

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