第352章 怖くてたまらなかった

小崎颂が彼女の前に立ちはだかり、少し不機嫌そうに斎田泉を見据えた。

「何の用だ」

斎田泉は取り繕う様子もない。

「小崎さん、まだご存じないんですか。あなたの奥様は、あなたを私に“質”として差し出しました。私が益池友幸さんを呼んできたから、佐々木おじさんの命が助かった。で、今の私の条件は――小崎社長、私と一度だけ食事して」

小崎颂の顔が強張り、瞳の奥に荒唐無稽な冷笑がすっと走る。

「頭が悪いなら病院行け。ここで戯言ほざくな」

斎田泉は意に介さない。

「佐々木さん、私の言った通りでしょ? しらばっくれないでくださいよ」

佐々木海子はその場で石になったみたいに固まり、顔色は最悪だっ...

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