第355章 顔を合わせても識らず

そのとき、小崎颂のスマホが不意に鳴った。

見知らぬ番号だ。ちらりと画面を確認して、取らない。

佐々木海子たちと、具体的な行動計画を詰めていく。

しばらくして、メッセージが一通届いた。

「俺はS国にいる」

小崎颂は一瞥すると、眉をきゅっと寄せ、その短文を削除した。

隣の住友直孝は、その小さな動きに気づき、内心ひやりとする。

小崎颂は流れでスマホを住友直孝に差し出した。

「充電、頼む」

それから佐々木海子のほうへ視線を戻す。

「なんでもない。続けよう」

いくつかの仮説を確かめるには、少しばかり人間離れした手を使う必要があった。

彼らが泊まっているホテルは郊外にあり、治安も...

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