第368章 成沢治子の陰謀

成沢治子は二階へ上がり、宪司を叩き起こした。寝足りない宪司が機嫌よくなるはずもない。暴れん坊の小さな獅子は服を着るのを拒むどころか、彼女の頬をぺちんと叩き、さらに腕にがぶりと噛みついた。

「宪司、そんなことしちゃだめ!」

口ではそう叱りながらも、成沢治子は腕を引き抜かなかった。

子どもの噛む力は想像以上だ。痛みに身体がぶるぶる震える。それでも彼女は歯を食いしばって耐え、廊下のほうへ叫んだ。

「田中さん、手伝ってください!」

彼女が上がってきた時、田中さんはまだ一階で書斎の掃除をしていた。ということは――この声は、小崎颂にも届く。

案の定、田中さんより先に小崎颂が階段を駆け上がって...

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