第382章 自分を取り戻す

佐々木海子は面食らった。

ただの、どこにでもある一言だ。それだけで、そこまで怒ることなのか。

それで彼女はああも取り乱し、命まで投げ出そうとするなんて。

「せめて昔は、あの人も最低限の体面くらいは気にしてたのよ。私の居場所も、ほんの少しは残してくれてた。それが今じゃ……最後の顔すら残ってない。こんなふうに扱われて、私が生きてる意味って何?

私、二十三であの人に嫁いだの。正直、顔がよくて金があるからよ。そうでもなきゃ、誰があんな人を選ぶのよ。当時の私は芸能界でも名の知れた“演技派”だったのに……結婚した途端、仕事は辞めさせられて。今思えば、後悔しかないわ……」

近松嘉子は泣きじゃくり...

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