第387章

佐々木海子は撮影の様子を聞こうと中へ入ろうとした。だがその矢先、小崎微雄がちょうど近松嘉子の腕をつかみ、無理やり自宅へ連れて帰ろうとしていた。

「ちょっと、なにするの! やめてよ、帰らないってば!」

嘉子はもう周りの視線なんてどうでもよかった。今にもこの忌々しい男に噛みついてやりたいほどだ。

海子はその光景を目の当たりにし、助けに入るべきか迷ってしまう。

彼女は小崎颂をちらりと見た。颂は「今は動くな」とでも言うように、軽く制してくる。

微雄はとうに堪忍袋の緒が切れていた。ひとつ深く息を吸い、冷えきった声で言い放つ。

「騒ぎはそれで終わりだ。帰るぞ。これ以上、恥をさらすな」

うん...

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