第388章

近松嘉子がフルーツポンチを運んできて、彼の目の前にとん、と置いた。

「食べなさい」

小崎微雄はぎょっとして顔を上げ、彼女を見た。視線の意味が読めない。

近松嘉子は罪悪感をごまかすように、さらに一言添える。

「あなたのために用意したの。ビタミンと、あと乳酸菌も摂れるし」

小崎微雄はしばらく黙り込み、苦しげに口を開いた。

「……ありがとう」

近松嘉子は危うく吹き出しそうになった。

なんてこと。彼女は目の前で、小崎微雄が使用人に小鉢を持ってこさせ、そこに少しだけ取り分けさせて――それを、やけに丁寧な所作で食べ始めるのを見届けたのだ。

天下の会長が、家でフルーツポンチ。

近松嘉子...

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