第104章 まさか懐星兄さんをいじめるなんて?

須藤星輝は手のひらをぎゅっと握りしめた。指の関節が青白くなるほどの力で。

――あの女のメイクが、ここまで上手いなんて。

最初から、いつものヘアメイクに夏川懐星を任せておけばよかった。

だが、いまさらだ。もう仕上がってしまった以上、後悔したところでどうにもならない。

だからといって、理由もなく「一回落として描き直せ」なんて言えるはずもない。

自分のアシスタントなら怒鳴りつけて済む。けれど夏川懐星は同業者で、しかも先輩だ。下手に扱えば、外で何を言われるか分からない。余計な火種が増えるだけ。

――どうする。

須藤星輝の頭が高速で回り始める。

元はチンピラ。汚いことには慣れている。む...

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