第112章 彼女は初めてだ

書類の中盤に差しかかったあたりで、含まれている商業機密の濃さが一段と増し、夏川紅蓮はついに読み続けられなくなった。

彼女は書類を置き、念のためとばかりに告げる。

「こんな重要書類なら、秘書の方を呼んで読ませたほうがいいと思いますけど」

諏訪淳行が彼女を見る。

「君は、この機密を漏らすか?」

「もちろんしません」

「なら問題ない。俺は君を信用してる」

「その信用、ちょっと安くないですか。会った回数、まだ十回も超えてません」

諏訪淳行は小さく頷いた。

「分かった。これからは、もっと頻繁に会う」

「……」

彼女は、そういう意味で言ったんじゃない。

「続けて」

諏訪淳行は目...

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