第114章 姿を変え、名を変える

夏川紅蓮の目がくらむほどの速さは、見せびらかしのためじゃない。死神と、命を奪い合っているだけだ。

奪い合うなら、手は速くなければならない。

一瞬でも遅れれば――その子は、命を落とすかもしれない。

やがて、鍼を打つべきツボすべてに銀針が立った。少年の頭は、まるでハリネズミだ。見ているだけで背筋が寒くなる。

ざわつく人だかりが、また紅蓮の腕を疑い始める。

「これ、本当に大丈夫なの? 適当に刺してるだけに見えるんだけど」

「変態じゃないの? それか、世の中に恨みでもあるとか……」

「頭に鍼なんて見たことないよ。冗談でしょ」

一方で、かばう声も上がった。

「俺、鍼灸やったことあるけ...

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