第116章 彼はあまりにも醜い

高見唯月にだけは――見られるわけにはいかない。

今の自分の顔は、あまりにも醜い。

鏡の中の自分を直視できないほどだ。ちらりとでも見れば、吐き気が込み上げてくる。

まして相手が高見唯月なら、なおさら。

高見唯月が最初から惹かれたのは、この顔だった。

交通事故で亡くした初恋の男に、似ているから。

だが今は、初恋に似ているどころじゃない。人間にすら見えない。

江口沢は無理やり呼吸を整え、スマホに向かって言った。

「今、家にいない」

「え?」階下の高見唯月が足を止める。

「まだ病院にいる」

「じゃあ私、病院に行く。どこの病院?」

江口沢は嘘をついた。

セントラル病院だ、と。...

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