第118章 婚約者が彼?笑える

この中華料理店は値段が張るわりに、客はそう多くなかった。

「ナナ、ここは厨房のほうで食材を選んで注文するんだって。いっしょに行く?」

この店は『素材の鮮度』で名が通っていて、とくに海鮮は客が自分で選ぶスタイルらしい。

夏川紅蓮はひらりと手を振った。

「あなたが行ってきて」

「了解」

夏川懐理は紅蓮の好みを把握している。外す心配もないのだろう、店員に案内されて注文スペースへ向かった。

――懐理が離れてすぐ、別の店員が近づいてきた。

手には、いかにも高級そうな白ワインが一本。

「夏川様でいらっしゃいますか?」

夏川紅蓮はうなずき、ボトルに視線を落とす。眉がわずかに寄った。

...

ログインして続きを読む