第122章 彼は、歩けるようになった

夏川紅蓮は、夏川懐清に拒まれても少しも意外ではなかった。

そうなるだろうと最初から読んでいた。だからこそ、彼女は真っ先に口を開かず、まず夏川懐理に切り出させたのだ。

ところが懐理は焦っていて、数日前に紅蓮が手術室へ入り、絵画界の大先生・相馬照の命を救った件をまくし立てた。

「ナナの腕は本物だよ。あのとき相馬先生の執刀医だった先生、今じゃナナのこと崇拝してるくらいだ」

夏川懐清は、わずかに目を見開いた。

――中医だけだと思っていた。まさか、メスまで握れるとは。

だが驚きは一瞬で消え、懐清はさっきと同じ顔に戻る。

「……本当に、いいんだ」

そのとき、夏川紅蓮がようやく口を開いた。...

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