第140章 失恋のような気持ち

広瀬剛とまいは、どこか落ち着かない様子で胸を高鳴らせていた。

北野永――北野家の次男坊。

諏訪淳行が「友」と呼べるほど腹を割って付き合ってきた、数少ない相手だ。

淳行がいちばん底まで沈み、世界が灰色に見えていた数年。

その隣には、いつだって北野永がいた。だからこそ、淳行は少しずつ息の仕方を取り戻せた。

彼がいるだけで、場の温度が下がらない。

一見すると、放蕩で、遊びと酒と女しか能がない。

だがそれは、彼が自分に塗っている擬態色にすぎない。

世間は北野家の長男を「若くして有能」と持ち上げる。

けれど実際は――北野永のほうが、ずっと厄介で、ずっと優秀だった。

諏訪淳行が、誰の...

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