第16章 再び面目を失う

五分後、夏川紅蓮は高見爺様の病室に通された。

老人は半昏睡の状態で、顔には酸素マスク。傍らには各種数値を映す機器がずらりと並んでいる。

だが紅蓮は、あくまで自分のやり方を貫く。

骨ばった手をそっと取り、目を伏せて脈を診た。

室内の誰もが息を殺す。

ただ一人、諏訪淳行だけは紅蓮の顔をじっと見つめていた。

――どこかで見た。確かに見たはずだ。

一分以上が過ぎ、ようやく紅蓮が老人の手を離す。

そこで高見正国が、やっと口を開いた。

「神医さん……父の容態は。治せますか?」

熱を帯びた視線を真正面から受け、紅蓮の胸にわずかな不快がよぎる。

その眼差しは、患者を案じるというより――...

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