第19章 平手打ち

高見唯月の頬がじん、と熱を帯びて痛んだ。反射的に手で押さえる。

信じられないものを見る目で、高見正国を見上げた。

「パパ……本気で、あんな乞食みたいなののために私を叩いたの?」

「バン――」

乾いた音。二発目。

今度はさっきより重かった。頬が見る見る腫れ上がり、赤みが盛り上がっていく。

「乞食だと? この方は神医さんだ。口を慎め!」

唯月の目から、堪えきれなかった涙がぽろりと落ちた。悔しさに顔を歪め、踵を返して走り出す。

高見奥様が慌てて呼び止める。

「唯月! どこへ行くの!」

「放っておけ! どこへ逃げられるってんだ!」

高見正国は追いかけようとした高見奥様を制し、夏...

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