第28章 彼女の婚約者

「ごめんなさい……母さん……俺が悪かった」

夏川懐斗は、ようやく腹の底から自分の過ちを認めた。

あれほど口汚く言い募ったのは、夏川瑠璃を信じ切っていたからだけじゃない。自分が正しいと証明したかったからだ。

懐斗は昔から一直線の人間だった。いったん「こうだ」と決めたら、周りも同じ結論に辿り着くべきだと本気で思ってしまう。

反論のために反論する性格だ、と言われたこともある。

そして瑠璃は、懐斗に言い返さない。だからこそ、懐斗は瑠璃にだけは妙に甘かった。

――今になって思えば、それが一番よくなかったのかもしれない。

「前みたいに考えなしでわがまましても、こっちが守ってやれた。あんたの...

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