第33章 車椅子から転落する

「若様……」

まいは思わず口を開いた。

「さっきのお嬢さんって、高見家の旦那様を治したっていう、あの名医なんですか?」

諏訪淳行は小さくうなずく。

「うん」

「まさか、あんなにお若いなんて……。でも私、どこかでお見かけした気がするんです」

諏訪淳行は、前方を見据えたまいにふと視線を向けた。

「お前もそう思うか」

「若様もですか?」

諏訪淳行はそれ以上、何も言わなかった。

どうせ映像はじきに復旧する。本人かどうかなど、そのとき見ればすぐ分かる。

惜しいのは、急ぎの約束があって、名前を聞きそびれたことだけだ。

まいは諏訪淳行が黙ったのを見て、それ以上は口をつぐんだ。アクセ...

ログインして続きを読む