第45章 顔が壊れた

夏川紅蓮が焚いたこの香は、身体に害はない。もともと眠っている人間を、さらに深く眠らせるだけ。簡単には目を覚まさなくなる。

逆に、起きている者にはまるで効かない。

夏川紅蓮はしばらく待ってから、部屋の明かりをつけた。

「兄さん?」

探るように呼んでみる。案の定、ベッドの上の夏川懐清はぴくりとも反応しない。

夏川懐清はゆったりしたシルクの寝間着のズボンを穿いていた。紅蓮はその裾をたくし上げ、そのまま診察に入る。

長いこと脚の筋肉を使っていないせいで、すでに軽い筋萎縮が始まっていた。

このまま手を打たなければ、両脚は本当に駄目になる。完全に。

だが、まだ間に合う。

彼女にとっては...

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