第53章 婚約

夏川奥様はまだ体調が万全ではない。だから今夜の見送りは、夏川懐理と夏川懐志が引き受けることになった。

そしてこの晩餐会の主役である夏川紅蓮も、さすがに顔を出さないわけにはいかず、二人に付き添って客を送っていた。

諏訪淳行が夏川奥様のもとを訪ねてきたのは、ちょうどその頃だった。

目の前の、端正で背筋の伸びた青年を見て、奥様の胸には言いようのない満足が広がる。

本来なら――家族になれていたはずだ。

けれど、今はもう……。

だからといって、どれほど彼を買っていようと、彼が想う相手を引き裂くような真似はしない。

「言いたいことは分かっているわ。よかったら、座って話しましょう?」

晩餐...

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