第75章 彼女のためなら、何でもできる

会議ホール。

司会者が一通り場を温めたあと、ようやく諏訪淳行が壇上に上がった。

長々と挨拶を垂れ流す企業の偉い連中と違い、諏訪淳行はほんの数言で、慈善オークションの開始を告げる。

高見正国も来ている以上、形だけでもと二点ほど落札した。

「慈善のため」と名目は立派だが、実際は諏訪淳行への意思表示にすぎない。

Sグループは、かつての夏川家よりもはるかに強大だ。

付き合えるなら、まずは善意を見せておくべき――そう判断するのは高見家だけではなかった。

他の連中も似たり寄ったりで、諏訪淳行の目に留まりたい一心で競うように札を上げる。

会場は一気に熱を帯び、ざわめきが膨れ上がっていった。...

ログインして続きを読む