第80章 甘すぎる

夏川瑠璃はここ数年、肌の手入れだけは怠らなかった。白くきめ細かな肌は、日光を受けると薄く艶めく。

――ぱんっ。

乾いた音と同時に、頬にくっきりと掌の跡が浮かび上がった。

夏川紅蓮はそれを見て、眉間をわずかに寄せる。

「なに? そういう趣味? だったら自分の家に帰って、鍵でも掛けて勝手にやって。人の目を汚さないで」

夏川瑠璃が鼻で笑った。

「今の、あんたが叩いたんでしょ! すぐ皆に言ってやる。あんたはすぐ手が出る、頭のおかしい女だって!」

諏訪淳行と高見浩然が、そんな女を好きになるはずがない。

言い終えるや否や、瑠璃は大きく口を開き、叫ぼうとした。

だが次の瞬間。

夏川紅蓮...

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