第86章 君は俺の婚約者だ

夏川瑠璃が口を開くより早く、夏川懐理が不機嫌そうに先に言い放った。

「兄さん? 冗談でしょ。盗作するわ、人としても終わってる妹なんて、私にはいない」

「私、夏川懐理の妹は――最初から最後まで、夏川紅蓮ただ一人よ!」

「それから夏川瑠璃。うちがあのとき大変なことになったのに、助けようともしなかった。それどころか、病気で寝込んでた母に真っ先に『家と縁を切りたい』って言い出して、断絶の書類にサインさせたのよ!」

「その書類、ちょうど持ってきてる。みんな、見て!」

懐理はそう言うと、夏川瑠璃の断絶書をその場で掲げて見せた。

夏川瑠璃はよろめき、危うく立っていられなくなる。

ざわっ、と周...

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