第87章 中傷

「師匠! 師匠!」

夏川瑠璃の姿を認めた瞬間、相馬照の表情がすっと沈んだ。

屈強なボディガード二人に挟まれたまま、相馬照は本来なら相手にする気などなかった。だが、瑠璃が車を追って必死に走り続けるのを見て、彼は短く顎を引く。

車が止まる。

相馬照は窓を下ろし、無表情のまま瑠璃が追いつくのを待った。

「師匠!」

瑠璃は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、息を切らして縋りつく。

「もう……私のこと、見捨てたのかと思いました……!」

相馬照は眉間に皺を寄せた。

「俺にお前の面倒を見る義務はない」

淡々と、切り捨てる。

「ただ、けじめをつけに来ただけだ。相馬照は“汚点”のある人間を弟子に...

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