第93章 彼に思いを抱くなんてできない

手術室の外。

時間がじりじりと過ぎるにつれ、相馬家の面々の顔に、再び焦りが浮かび上がった。

「……まだ何の連絡もないの?」相馬奥様が堪えきれずに尋ねる。

相馬照は、彼女という嫁を決して粗末に扱わなかった。だからこそ相馬奥様も、相馬照の身を案じる気持ちは本物だった。

相馬さんは少し落ち着きを取り戻し、

「心臓の手術は大ごとだ。時間がかかるのも普通だろう」

そう言って奥様を宥める。

だが相馬修雅は、言葉が刺々しい。

「さっきの女が入って邪魔したせいで――だから……」

「相馬殿」

広瀬剛が冷えた声で釘を刺した。

もともと強面のうえ、麦色の肌に険しい表情が重なると、迫力が段違い...

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