第94章 引っかき傷

相馬修雅は、言葉が落ちた瞬間、背筋がぞくりと冷えた。

背中に目があるわけじゃない。けれど直感が告げている。氷みたいに冷たい視線が、今もなお自分を刺し貫いている、と。

その視線の主がいる方向――諏訪淳行のほうだ。

そこでようやく思い出す。夏川紅蓮は、諏訪淳行が保証した人間だ。

つまり自分が紅蓮を貶したのは、遠回しに諏訪淳行を貶したのと同じ。

胸の奥がひやりと沈む。

祖父の安否が気がかりでも、諏訪淳行の立場だけは忘れていなかった。あの男は、誰にでも喧嘩を売っていい相手じゃない。

額に冷や汗がにじむ。

どう言い繕えばいいかと必死に頭を回した、そのとき――不機嫌そうな医師の声が飛んだ...

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