第96章 女装

夏川懐理は、彼女の胸の内を察したのだろう。小さくうなずいてから、南雲穗香に向けて言った。

「分かったよ、母さん。ナナと一緒に、もう戻ってる途中だから」

「ええ」

通話が切れる。

夏川紅蓮の胸に、ふっと期待が灯った。

夏川家の息子は六人。彼女がすでに会ったのは四人で、性格もそれぞれ違った。三男の懐星兄さんは、いったいどんな人なのだろう。

条件は悪くないはずなのに、ある女のせいで芸能界では長いこと冷遇されている――そう聞けば、兄貴たちと同じように、くすぶっているタイプなのかもしれない。鬱屈を抱えたまま、行き場のないまま。

紅蓮は考え込みながら訊いた。

「懐星兄さんって、何か特徴あ...

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