第98章 もう寝た?

たには両腕を交差させて自分を抱きしめ、いかにも彼女が怖くてたまらないといった顔を作った。

夏川紅蓮は白眼をむく。

「芝居はいい。暗部で私をいちばん怖がらないのはあんたでしょ。で、諏訪家のファイアウォールを破ったのは何のため?」

たにはぎょっとした。

「……誰に聞いたんです?」

あの件は、知っている連中に口止めまでした。夏川紅蓮にだけは、絶対に知られたくなかった。

そこは彼女の傷だ。わざわざ抉り返すような真似はさせない。

あの日、夏川紅蓮がいなければ、自分は継父に殴り殺されていた。彼女は命の恩人だ。

……歳は、彼女より二つ上なのに。

「懐清兄さんから」夏川紅蓮は淡々と言う。「...

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