第88章

葉山成也は、たちまち顔を曇らせた。

沈村茜は、沈村蓮のあの天をも睨むようなふてぶてしい態度を見るだけで腹が立つ。罵ってやりたいのを、隣の葉山時雄に強く腕を掴まれ、どうにか飲み込んだ。

広い個室が、ふっと音を失う。空気まで固まったみたいに重い。

沈村蓮は怯みもしない。怒りもしない。むしろ悠然と、卓上のポットで自分のグラスに水を注ぎ、菓子を一つ取ってゆっくり口に運ぶ。その間、向かいの三人へは一度も視線をやらなかった。

先に堪えきれなくなったのは沈村茜だった。

「沈村蓮! その態度、目上を何だと思ってるの。自分勝手で冷たくて……私たちがあんたを嫌いなのが悪いって言うの? 違うでしょ! あ...

ログインして続きを読む