第102章

「小林、起きてくれ……」

 ほろ酔いの頭はどこか鈍重だったが、理性までは手放していなかった。

 けれど、耳元で響いたその声が玖珂智のものだと気づいた瞬間、酔いが二割ほど冷めていくのを感じた。

「どうして、ここに?」

 私はまだ少し焦点の定まらない瞳で、目の前の人物を見つめる。

 彼の頭がゆらゆらと揺れているような気がして、無意識にそれを止めようと手を伸ばした。

 玖珂智は私が抱きつこうとしたと勘違いしたのか、反射的に両腕を伸ばし、私の身体を支えてくれる。

 彼に支えられそうになり、私は慌てて背筋を正した。

「酔ってませんから。お構いなく」と、手振りで拒絶を示す。

 玖珂智の...

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