第105章

車は守谷ビルのエントランスに滑り込んだ。

見上げれば首が痛くなるほどの、六十階建てを超える巨塔。その先端は雲を突き抜けるかのようにそびえ立っている。

間違いなく、A市を代表するランドマークの一つだ。

寸土寸金と言われるA市の一等地にありながら、万陽キャピタルはこのビルの四フロアを占有しているという。その資金力と実力は計り知れない。

エントランスに降り立ったのは、ちょうど通勤ラッシュの時間帯だった。

行き交う人々でごった返す中、足を踏み入れようとした瞬間——近くにいた数人の女性たちが、急に色めき立った。

まるで何かのスイッチが入ったかのように、彼女たちの表情が一気に華やぎ、活気づく...

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