第124章

「なぜ、あなたが?」

 私の最初の反応は、逃げること、それだけだった。

 だが、奴はすでに目と鼻の先にいた。考え事に没頭しすぎて、気配に気づくのが遅れたのだ。

 実は、もっと早く気づくべきだった。さっきから誰かにつけられているような気配を感じていたのだから。

 背中に張り付くような熱量と人影。全身が凍りつく。本来なら、隙を見て足を踏みつけ、全速力で逃げ出すべき場面だ。

 だが、恐怖で体がすくみ、指一本動かせない。

「た……」助けて!

 自分に「落ち着け」と必死に言い聞かせ、ようやく喉から絞り出したのは、たったそれだけの音だった。

 しかし、次の言葉を叫ぶ間もなく、*藤原純...

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