第134章

玖珂智の、いろんな顔を見てきた。

病に伏せっている時の彼も含めて。

だが、今の彼はまるで違う。片手で犬のリードを握り、その犬が嬉しそうに草むらへ鼻を突っ込んで動き回っているというのに、彼の表情はあくまで穏やかだった。

カジュアルなシャツにスラックス、足元は白いスニーカー。もう片方の手は無造作にポケットに突っ込まれており、背景の洋館と少しの違和感もなく溶け込んでいる。

百八十センチを超える長身も相まって、彼のいる場所だけが一枚の絵画のように切り取られていた。目の保養というか、つい視線が引き寄せられてしまう。

うちの、お利口で少し落ち着きすぎているゴールデンレトリバーに比べ、玖珂智が連...

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