第44章

既に突入するつもりがないなら、慎重に行動すべきだろう。

ビデオでは扉を開けないから撮影することはできないが、録音ならできる。

これも、私が天川彩香と一緒にずっとドアの前で録音するわけにもいかないからだ。万が一、藤原純に気づかれでもしたら大変だ。

私と天川彩香はスマホを通じてやり取りしていた。

天川彩香はかなり腹を立てている。「本当に突入してビデオで証拠を押さえないの?」

私は首を振った。「この程度の証拠では、あの男を追い詰めるには足りないわ」

天川彩香は前髪を吹き上げながら怒った様子で、「でも、こんなのじゃあのクズ男に対してあまりにも安易すぎる」

「一時的にはね」私は微笑みなが...

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