第72章

再び目を開けたとき、意識はまだ薄い霧の中にいるようにあやふやだった。

私は、死んだのだろうか?

いや、違う。鼻を突くこの独特な刺激臭――馴染み深い消毒液の臭いが、生きていることを教えてくれている。

そして、目覚めて最初に視界に映った人物。それは、まさかの玖珂智だった。

だが、なぜ彼がここに? 殴られた衝撃で頭がおかしくなり、幻覚でも見ているのではないかと疑ってしまう。

確信が持てず、私は一度目を閉じ、恐る恐るもう一度彼を見た。

……まだ、いる!

至近距離にある端整な顔立ち。相変わらずの破壊力だ。これほどまじまじと彼を見つめるのは初めてかもしれない。「運がいいなあ。目覚めたらこん...

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