第75章

天川彩香は私の言葉を聞くと、痛ましげに私の手を握りしめた。「夕子、前を向いて。いい男なんて他にもいるんだから」

「確かに藤原純は最低だったわ。そのせいでトラウマになってるかもしれない。でも、悪いのはあいつよ。あいつの過ちで自分を罰することなんてない。自分を追い詰めないで、心のままに、自然体でいればいいの。もし将来、誰かにときめくことがあったら、その時は迷わないで」

「分かってる」私は天川彩香の手を握り返した。「安心して。生死の境をさまよったんだもの、少しは吹っ切れたわ」

天川彩香は頷いたが、やはり疑問を口にせずにはいられないようだった。「でもさ、ありえないとは思うけど……。玖珂智はどう...

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