第79章

「そうねえ……まずはどこから話そうかしら」

 川崎志乃は頬杖をつき、じっと私を見つめたかと思えば、視線をくるりと巡らせる。いかにも悩んでいる、といった風情だ。

 私は、川崎志乃のその芝居を遮ることなく待った。

「藤原純といつ知り合ったか、そこから始めましょうか。

 三年ほど前ね。家の代理として、学校へ貧困支援の継続協議に行った時、初めて彼に会ったの。

 あの頃の彼はまだ青臭くて、顔立ちは悪くなかったけれど……そんな男、何十人とまでは言わないにしても、十人以上は見てきたわ。希少価値なんてない。精々、目障りではない程度の、優秀な卒業間近の男子大学生ってところね」

 藤原純の名を口にす...

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