第81章

だが、川崎志乃は気にする素振りさえ見せない。

彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、私を見下ろした。

「見たでしょ? あいつにとって、私のほうがアンタよりずっと価値があるのよ。アンタなんて安っぽくて騙しやすいカモ。でも私は違う。私はあいつにとって高嶺の花、雲の上の存在なの。だから必死になって機嫌を取ろうとするし、金だって惜しまず使うのよ。要するに、アンタは上手く丸め込まれたけど、私は違うってこと。私はあいつを笑い者にしてやってるの。本人は気づいてもいないけどね」

「私には、あなたのような手腕はないわ!」

その点は認める。

藤原純と出会うまで、私は恋愛経験が皆無だった。両親の躾は厳しく...

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