第85章

玖珂智は小さく頷いた。

そして、事の真相を語り始めた。「あれは、数年前のことです……」

彼は一枚の写真を取り出し、私に手渡した。

受け取って見ると、そこにはこの世のものとは思えないほど美しい男が写っていた。だが、彼は車椅子に座っており、背景は薄暗く淀んでいる。そのせいで、彼の美貌にはどこか陰鬱で妖艶な気配が漂っていた。

「この人物は川崎悟の長男、川崎志乃の兄である川崎永衛です。本来ならば川崎家が手塩にかけて育てた、完璧な継承者となるはずでした。容姿端麗なだけでなく、非常に聡明で有能な男だったそうです。

しかし数年前、川崎志乃が彼を訪ねて遊びに行き、連れ立って外出した際に交通事故に遭...

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