第86章

「君が納得できたなら何よりだ。僕が調べた甲斐もあったというものだ」

 玖珂智は、その深い瞳で私を見つめていた。

 胸の奥に奇妙な感覚が湧き上がり、私はなぜか彼の視線を直視できなくなる。

 わずかに視線を逸らし、小さく息を吐いた。そして、しみじみとした口調で言う。

「調査結果を見て、川崎志乃があんなことをした動機が、少しわかった気がします」

「ん?」

 玖珂智は私が視線を逸らしたことに気づいていないようだ。私の言葉を聞き、鼻にかかったような声を漏らす。好奇心を抱いているようだ。

 私は独り言のように語り始めた。

「彼女は、すべての悲劇の元凶が、私の父がかつて彼女の母親を捨てたこ...

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