第93章

家財道具がすべて運び出され、あとに残ったのは、引き出しの奥に大切にしまっていた数枚の写真と、手作りのプレゼントだけだった。業者のスタッフが私に尋ねる。

「こちらの品々も、梱包なさいますか?」

私はその写真を見つめた。

それは私と藤原純が、最も幸せだと思っていた時期に撮ったものだ。写真の裏には、いつ、どこで、何をしていたか、そして当時の私の浮かれた心情までが詳細に記されている。

そして、このプレゼント。

確かに手作りには違いない。当初、私はこれを藤原純が私のために一生懸命作ってくれたのだと信じ込んでいた。だがその後、川崎志乃の嘲笑交じりの指摘を受けて調べてみると、なんてことはない、ネ...

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