第97章

「あなたが運命だと信じていた一目惚れなんて、所詮は川崎志乃が描いたシナリオに過ぎないのよ。彼女、川崎家での立場が悪くて肩身の狭い思いをしていたから。

だから、その鬱憤の矛先を変えてぶつけてきたの。今の不幸はすべて私の父のせい、父が彼女の母親を捨てさえしなければ、私が持っているような円満で幸福な家庭が手に入っていたはずだと信じ込んでね。

あなたに関しては……彼女が興味を持ったのは、あなたが自負しているような容姿や学識、能力なんかじゃないわ。単にあなたが『私の彼氏』だったから。それだけよ」

私は、言葉を重ねるごとに藤原純の顔色が土気色に変わっていくのを冷静に見つめていた。

けれど、彼は沈...

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