第98章

藤原純の、それまで無感動だったその顔に、ようやく焦燥と憂慮の色が浮かび上がった。

彼は目を潤ませ、懇願するような眼差しを向けてくる。

「小林夕子……これでも僕たちは夫婦だったんだ。それに、母さんだって以前は君に良くしてあげたこともあっただろう? 頼むよ、母さんまで追い詰めるような真似はしないでくれないか」

おかしくて、思わず吹き出しそうになった。

「あなたたちはどうなの? 私を追い詰めないでおこうなんて、一度でも考えたことがあった? それに、よくもまあ『良くしてあげた』なんて言えたものね。あれは全部、目的があったからでしょう? だから……悪いけど、それは無理よ」

藤原純の顔色が一変...

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