第37章

ドアを開くと、秋山美咲の写真が一瞬にして私の目に飛び込んできた。

頭の中が「ぶんぶん」と鳴り、携帯の着信音も聞こえないほどで、まるで魂が抜けたように中へ足を踏み入れた。

リビングのソファー背景の壁には、二人のウェディングフォトが掛けられていた。サイズが特別大きく、壁の半分以上を占めている。写真の中で、秋山美咲は渡辺光の首に腕を回し、とても眩しい笑顔を浮かべていた。私にはそれが刺すように眩しく感じられた。

これは最近撮ったものではないはずだ。写真の渡辺光の髪は今より随分長く、髪を切ったのは少なくとも二、三ヶ月前のことだろう。

先ほど書斎で見つけた怪しい点を思い出し、大胆な推測が一気に頭...

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