第38章

たった一度のキスだったのに、一瞬で呼吸が乱れてしまった。

特に、多くの人が私たちに視線を向けているのを見て、恥ずかしさが二重三重に襲ってきた。

藤原大輔は私の慌てぶりを余裕で楽しんでいるようで、顔に浮かぶ笑みがどんどん大きくなり、突然手を伸ばして私の頬をつついた。

「なんでそんなに可愛いの?顔まで赤くして」

思わず熱くなる頬を手で覆いながら、小声で呟いた。

「私もう26よ。まさか『可愛い』なんて言葉で形容する?」

藤原大輔は笑った。「君は62になっても、俺の目には可愛く映るよ」

私は少し呆然として彼を見つめ、一瞬思考が遠くへ飛んでいった。

私が62歳になった時、彼は私のそばに...

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