第2章

美奈子視点

階下から声が聞こえる。もう二人で朝食をとっているのだろう。私は一つ深呼吸をして、階下へと向かった。

ダイニングルームに入ると、二人はテーブルに並んで座っていた。大志はコーヒーを前に置いていたが、私に気づくと椅子に座り直した。

「美奈子。起きたか、ちょうどよかった。お前に話がある」

私は二人の向かいの椅子に腰を下ろした。テーブルが急にひどく大きく感じられた。磨かれた木材を挟んでいるだけのはずなのに、私たちの間にはまるで海が広がっているかのようだ。

「この状況について、俺は決断を下した」と大志が言った。「慎重に考えた結果だ。俺は、お前たち二人とも手元に置くことに決めた」

美香が私をちらりと見て、反応を待っている。

「二人とも愛しているんだ」と彼は続けた。「黒木家には、妻を二人養うだけの財力は十分すぎるほどある。だから、俺には選択すること必要はないと思う」

前の人生では、この瞬間に私はキレてしまったのだ。彼がおかしい、誰かと彼を共有するなんてありえない、これは私たちが誓い合ったすべてへの裏切りだと叫んだ。

でも、今の私はただ彼を見つめるだけだった。

「わかったわ」と私は言った。

大志は瞬きをした。「なんだと?」

「わかった、と言ったのよ」私はコーヒーポットに手を伸ばし、自分のカップに注いだ。「それがあなたの決めたことなら」

「怒らないのか?」彼は私をじっと見つめている。

「現実的に考えているの」私はコーヒーを一口飲んだ。苦かったが、砂糖を入れる気にもならなかった。「あなたは恵美の命を救ってくれたわ、大志。私が一文無しだったとき、彼女の手術費を払ってくれた。彼女に、本当に生きるチャンスをくれた。あなたにそれだけの借りがあるのに、どうして怒れるというの?」

『私がどれだけ動揺しているか、あなたには分かりっこない。あなたがすべてを破壊するのを、私はもう見てしまったというのに。この瞬間のせいで、一度死んでいるというのに』

美香がカップを握る手に力がこもった。その動きが視界の隅に入る。「ずいぶん物分かりがいいのね、美奈子さん」

「それに」私は今度は彼女の方を見て続けた。「これで大志さんが幸せなら、私は受け入れるべきだわ。愛っていうのはそういうものでしょう? 相手に幸せでいてほしいと願うこと。違う?」

大志の表情が、安堵とも、あるいは疑念ともつかない、読み取れないものに変わった。「話が早いで助かるよ」

「実は」と私は言った。「美香さんが落ち着けるように、手伝ってあげようかと思っていたの。必要なものが全部揃うようにね。もしよかったら、客室を改装したっていいわ」

美香の笑みは、まったく目元に届いていなかった。「なんてお優しいの、美奈子さん」

その言葉に胃がむかついたが、私は無表情を保った。「当然よ。もう家族なんだから、そうでしょ?」

朝食の後、大志は美香を連れて改装のための家具を選びに出かけ、私は計画を開始した。まずやるべきは、私と妹の身分を変えることだ。向かったのは、以前、大志の仕事を請け負っていた頃に偶然見つけた裏の組織だ。面倒な公的手続きを迅速に処理してくれるうえ、口が固いことで有名だった。まさに私が必要としていたものだ。

書類を提出し、手続きを急いでもらうよう確約を取り付けた後、私はまっすぐ恵美のアパートへ向かった。このアパートは私の貯金で借りたものだ。もう医療費の心配をしなくてよくなったおかげで、貯金にはずいぶん余裕ができた。彼女は私たちと一緒に住みたがらなかったので、この場所を見つけたのだ。大志はマンションを丸ごと買ってやるとまで言ったが、彼女は断った。私に気を使って断ったのだと分かっていた。アパートに着くと、彼女は机に向かっていて、周りには参考書が散乱していた。

「あ、姉さん」彼女は顔を上げて微笑んだ。それからその笑みが消えた。「ひどい顔だよ」

彼女はすぐに立ち上がって、私の両手を取った。「何があったの?」

ああ、全部話してしまいたい。ここにいたらあなたは死ぬことになるんだと伝えたい。美香は本物の化け物なのだと。あの女が笑いながら、射撃場の床であなたが血を流して死んでいくのを、私はもう見てしまったのだと。

「大丈夫」と私は言った。「ちょっと大事な話があって来ただけ」

「大志さんのこと? 何かされたの?」

「ううん、そうじゃないの。あなたの将来について、あなたにとって何が一番いいかを考えていたの」私は息を吸い込み、無理に落ち着いた声を出した。「留学するのはどうかなって。ヨーロッパのどこかとか」

「え? なんで私がそんなこと」

「あなたが勉強したい分野なら、向こうにもっといいプログラムがあるわ。私たち二人とも、しばらくここを離れるのはいいことだと思うの」

恵美は私の手から自分の手を引き抜いた。「お姉さん、いったい何が起こってるの? 様子が変だよ。とんでもないお金持ちと結婚して、すべてが完璧に見えたのに、今度は日本を出たいなんて」

「人は変わるのよ」と私は静かに言った。「状況も、予想もしない形で変わる」

「でも、彼は運命の人だって言ってたじゃない。結婚式は人生で最高に幸せな日だったって、文字通りそう言ってたのに」

そうだった。幸せな結末なんて戯言で、愛した男が自分の苦しみをただ眺めるだけの他人になり得るのだと知るまでは。

「私が間違ってたの」と私は言った。「いろんなことについてね。でも、これについては間違ってない。私たちはここを離れる準備をしなくちゃいけない。それも、すぐに」

「すぐにって、どれくらい?」

「まだ分からない。数週間か、もっと短いかも。お願いだから、この件は私を信じてくれない?」

彼女は長い間私を見つめ、私が何を言わずにいるのかを読み取ろうとしているのが分かった。「大変なことが起こってるね」

「ええ、ごめんなさい。だから、私を信じてほしいの。お願いできる?」

ついに、彼女はゆっくりと頷いた。「わかった。でもお姉さん、もし何か助けが必要なら、もし大志さんがあなたを傷つけたり――」

「分かってる。ありがとう」私は彼女を、たぶん少し強すぎるくらいに抱きしめた。彼女が少し身を引こうとするのを感じるほどだった。でも、どうしようもなかった。頭の中では、あの別の時間軸で見た彼女の姿が、もう死にかけている彼女の姿が繰り返し浮かんでいた。だから、彼女が呼吸をしていて、生きていて、安全だと感じずにはいられなかったのだ。

家に戻ったのは、夜の十時近くだった。

階段に向かう途中、リビングルームを通り過ぎる。大志と美香がソファに座り、知らない映画を見ていた。彼はまるで本当の恋人同士のように、彼女の肩に腕を回していた。

「美奈子」階段を半分ほど上ったところで、彼の声が私を呼び止めた。「一日中どこに行っていたんだ?」

「外出よ」と私は言った。「ちょっとした用事で」

「どんな用事だ?」

「個人的なこと。あなたが心配する必要はないわ」

再び階段を上り始めたが、彼は「待て。こっちに戻ってこい」と呼びかけた。

その口調に含まれる何かに、私は振り向かざるを得なかった。彼は今は立ち上がり、一枚の紙を手に持っていた。手紙だ。

胃がずしんと重くなったが、表情は完全に無のまま保った。一体、今度は何なの?

「これを見つけた」彼はその紙を持って私の方へ歩いてきた。「お前の書斎でな。これが何なのか、説明してもらおうか?」

彼は私に手紙を渡し、私はそれにさっと目を通した。それは、智也という男に宛てた、私からの手紙ということになっていた。この結婚生活に閉じ込められるのがどれほど嫌か、大志から解放されるのが待ちきれない、と書かれていた。

筆跡まで、私のものにそっくりだった。

「どうなんだ?」大志が問い詰めた。「何か言うことはあるか?」

私は手紙から顔を上げた。「こんなもの、書いてないわ」

「筆跡がお前のものと完全に一致する」

「書いてない」私は繰り返した。声は平坦で、疲れ切っていた。

「つまり、誰かがお前の筆跡を真似て手紙を丸ごと偽造したと? 俺にそれを信じろと言うのか?」

「そうなるわね、ええ」

「嘘をつくんじゃない!」彼の声が廊下に響き渡った。美香が彼の後ろの戸口に現れ、その顔には完璧な心配の表情が浮かんでいた。

私はただ彼を見つめた。もううんざりだった。彼にも、この状況にも。「信じたいように信じればいいわ、大志。どうせそうするんでしょうから、私が何を言ったって関係ないじゃない」

「どういう意味だ?」

「私はあの手紙を書いていない、という意味よ。智也なんて人も知らない。それに正直、あなたが信じようと信じまいと、もうどうでもいい」私は背を向けようとした。「用件はそれだけ?」

彼は私の腕を強く掴んだ。「俺からただ立ち去れると思っているのか? 俺がお前のためにしてやったことすべてを忘れたのか? お前の妹の命を救ってやったというのに?」

『私のためにしてやったことすべて? ナイフの前に私を突き飛ばしたこととか? あなたの狂った恋人が私の妹を殺している間、ただ突っ立っていたこととか?』

でも、そんなことは一言も口に出さなかった。ただ、彼が私の腕を掴むその手を、彼がようやく放すまで見下ろしていた。

「自分がしたことについて、よく考えるんだな」と彼は言った。「自分の行動について、じっくり、真剣に考えるんだ」

「わかったわ」

「外へ出ろ。中庭で跪いていろ。俺がいいと言うまで、中に入ってくるな」

彼の向こう、戸口に立つ美香に目をやった。彼女の顔には小さな笑みが浮かんでいた。喜びを隠そうとしているのに、隠しきれていない、そんな笑みだ。これが彼女の計画のすべて。私がこうして屈辱を受けるのを見ること。

いいわ。好きに楽しませてあげましょう。数週間もすれば私はここを出ていく。そうすれば、このすべては彼女のものになる。この家も、お金も、大志と彼の身勝手な愛も。すべて彼女のものになればいい。

「いいわよ」と私は言った。

私はもう一言も発さずに彼らの横を通り過ぎ、家を抜けて裏口から中庭に出た。雨が降り始めていた。もちろん、そうだろうとも。

私は濡れた石の上に跪いた。雨は数分も経たないうちに服を濡らし、冷たい水が背中を伝い、髪が顔に張り付いた。凍えるようで、一秒ごとに寒さが増していく。

窓越しに、大志が書斎に立っているのが見えた。彼は私を見つめている。ほんの一瞬、彼が外に出てきて、もう十分だと言ってくれるかもしれないと思った。彼の手はドアノブの方へ動きさえした。

だが、その時、美香が彼の隣に現れた。彼女が何かを言うのが見えたが、ここからでは聞こえない。そして彼は窓から背を向けた。

夜が深まり、雨が激しくなるにつれて、明かりが一つ、また一つと消えていった。

私は中庭で跪いたまま、雨に完全に濡れるにまかせ、すべてを思い出すことにした。コンクリートに広がる恵美の血。妹が死ぬのを見つめる美香の笑み。自分が死ぬときに感じた、文字通り心が張り裂ける感覚。

あと二週間、と私は思った。あと二週間でここを出る。あと二週間すれば、彼女はもう二度と私たちに手出しできなくなる。

雨は降り続き、私はその中で跪き続けた。そして、泣かなかった。黒木大志のために泣くのは、もう終わりにしていた。

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