第8章

朝の光がブラインドの隙間から差し込み、かつては活気に満ちていた高橋真一のオフィスに、墓標のような長い影を落としていた。マホガニーのデスクには、契約解除を告げる通知や、法的措置を示唆する書類が山積みになっている。

私は彼がそこに座っているのを見ていた。肩を落とし、まるで魂を抜き取られた抜け殻のように、私たちが共に築き上げてきたものすべてが完全に崩壊したことを示す紙の山を、ただ見つめている。

五年、私の右腕として働いてきた佐川歩美が、茶封筒を手に部屋に入ってきた。コツ、コツ、と大理石の床を打つ彼女のヒールの音が、空虚な空間にやけに響く。彼女は黙々と段ボール箱に私物を詰め始めた。

「退...

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