明日。

翌日はすぐにやってきた。

霧が砂州に低く立ち込めている。ほんの十分も立っていれば、ブーツやコートに染み込んでくるような厄介な霧だ。ロープが張られ、チョークで円が描かれている。左にザビエル、右にレヴィ。ハイデンは、まるで視線だけで火をつけようとしているかのように、木立の並びを睨みつけている。ノアは少し前に立ち、肩の力こそ抜けているが、その目は油断なく周囲を警戒していた。使者を迎える準備は整っていた。

だが、茂みから現れたのは使者ではなかった。

代わりに一人の女性が現れたのだ。たった一人で。匂いを偽装するためのコートも着ていない。使者特有の洗練された足取りもない。ただの女性が、震える両手以外は何...

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