開始中。

ベルが鳴り響く。椅子の擦れる音、鞄のジッパーを閉める音が重なり、昼休み特有の喧騒が中庭を包み込んだ。テッサは意味ありげな笑みを浮かべ、「楽しんでね」と囁くと、人混みの中へと姿を消し、ディーン・ブラックモアという名の「歩く厄介事」と私を置き去りにした。

ディーンは立ち上がり、鞄を片方の肩にひょいと掛けた。「行こうぜ」と、彼は事もなげに言う。「教室まで送るよ」

私は躊躇した。「私の教室がどこかも知らないくせに」

彼はニヤリと笑った。「だからこそ、君に案内してもらわなきゃな」

口が達者で自信家。やっぱりね。私は呆れたように目を細めたが、彼が私の隣に並んで歩き出しても拒絶はしなかった。廊下は教...

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