心痛と気晴らし。

エリオット

心臓が一度高鳴るわずかな間、世界からすべての音が消え失せたようだった。そこにあるのは俺の唇に重なる彼女の唇と、髪に絡めた俺の手だけ。彼女の香水の香り、そして俺の体に押し付けられた彼女のしなやかな曲線の感触がすべてだった。

だが、彼女は身を引いた。

彼女は息を呑み、その瞳を潤ませていた。「だめよ」彼女は首を横に振りながら囁いた。「エリオット、こんなことできない」

その言葉が、鋭い刃のように俺の心を切り裂いた。俺は目を閉じ、顎が胸に触れるほどうなだれた。

「いつか、君も俺を愛しているって認める日が来るさ、メイス」俺は静かに言った。「君を待ってる。たとえ永遠に待つことに...

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